[萩焼窯元]人間国宝、三輪休雪オフィシャルサイト>経歴紹介

十二代休雪(本名 龍作)は、三輪壽雪(じゅせつ)(十一代休雪)の長男として生まれ、ともに「萩焼」の人間国宝となった伯父の休和(十代休雪)と父の作陶姿勢を間近で見つめ、早くから萩焼固有の素材と技法に親しんでいました。

茶陶「萩」の近代的発展に大きな役割を果たした伯父と父の志をもっともよく理解し、その革新性を高く評価した休雪ですが、彼は萩焼の伝統的規範にとらわれることなく、自己の内発的な感覚のもと、陶造形の芸術性と今日性を問う制作活動を繰り広げてきました。

東京藝術大学大学院修了展にオブジェ陶のハイヒールを「花子の優雅な生活」と題して発表した1967年以来、ときには情念の赤裸々な暴露として、またあるときは崇高なる観念の感覚的啓示として表現される作品は、われわれの情感を激しく揺さぶってきました。

人の心根の奥深いところにある愛欲や情念を包み飾らず可視化した休雪のかたちが、その具象性ゆえに、個の生滅という人間存在の根源に対するより切迫した感興を呼び起こさせるからでしょう。

萩固有の陶土の物性を最大限に活かしたこの造形的主張は、温かみのある黒陶彩の土肌や、厚く盛られた艶釉薬や萩伝統の白萩釉の色彩、そしてぬめるような独特の光沢のうちに周囲を映す金彩をまといながら、表情豊かな連作や記念碑的大作のかたちに不抜の道念として示され続けています。

山口県立萩美術館・浦上記念館 石﨑泰之